突然の嘔吐や下痢で、衣類がノロウイルスに汚染されてしまった。
そんな時、慌ててドラム式洗濯機で洗ってしまった経験がある方は少なくありません。
しかし、誤った処理をしてしまうと洗濯機内や他の衣類にウイルスが残留し、家庭内で二次感染を招く恐れがあります。
本記事では、ノロウイルス汚染衣類を洗濯機で洗ってしまった場合の緊急対処法を解説。
さらに、60度以上の高温洗濯やドラム式乾燥機による除菌効果、洗濯機内部の徹底消毒方法も紹介します。
正しい手順を踏むことで、ウイルスの拡散を防ぎ、家庭内の安全を守ることができます。
- ノロウイルス汚染衣類を洗ってしまった時の緊急対処法
- ドラム式洗濯機を安全に消毒する手順と注意点
- 60度以上の高温洗濯や乾燥機の除菌効果の実態
ノロウイルス汚染衣類をドラム式洗濯機で洗ってしまった場合のリスクと初期対応

ノロウイルス汚染衣類を誤ってドラム式洗濯機で洗ってしまった場合、最も懸念すべきは洗濯機内部へのウイルスの残留と、それに伴う家庭内での感染拡大です。
ドラム式洗濯機は縦型に比べて使用水量が少ないため、ウイルスが機内に残りやすい構造です。
また、汚染衣類が他の衣類や洗濯槽と直接接触することで、二次感染のリスクが高まります。
ここでは洗ってしまった直後に行うべき初期対応を、わかりやすく解説します。
初期対応を間違えると、洗濯機自体がウイルスの拡散源になってしまう可能性もあるため、慎重な対応が必要です。
① 汚染された衣類はすぐに隔離する
まず最初に行うべきは、ノロウイルス汚染衣類を他の洗濯物と明確に分けることです。
汚染衣類は密閉できるビニール袋に入れ、口をしっかり閉じて管理します。
洗濯までの間、密封状態で屋外または通気の良い場所に保管すると安全性が高まります。
この際、袋の外側も汚染されている可能性があるため、必ず手袋を着用して取り扱いましょう。
② 洗濯機に残ったウイルスへの注意
ドラム式洗濯機は節水構造であるため、すすぎ残しや内部の汚染が残りやすい傾向があります。
汚染衣類を洗ってしまったあとは、洗濯機内部にウイルスが残っている可能性を考慮し、すぐに消毒作業に取りかかる必要があります。
具体的な消毒方法については後述しますが、少なくとも2回以上の空洗い、その後に塩素系漂白剤による洗濯槽除菌が望ましいです。
③ 感染拡大を防ぐための衛生対策
洗濯機以外にも、手すり・ドアノブ・リモコンなどの接触部位にはウイルスが拡散している可能性があります。
次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)を希釈して使うのが効果的です。
【参考濃度】0.02%(200ppm)に希釈してスプレーし、10分以上の接触時間を保ったあと水拭きします。
※漂白剤使用時は換気と手袋・マスクの着用を徹底してください。
効果的な洗濯・消毒方法:ドラム式洗濯機でのノロウイルス対策

ノロウイルス汚染衣類を正しく除菌・消毒するためには、高温洗濯と乾燥処理を徹底することが不可欠です。
特にドラム式洗濯機は水量が少なく、ウイルスが内部に残留しやすい構造のため、より注意深い対応が求められます。
本セクションでは、効果的な洗濯温度や漂白剤の種類と使い方、乾燥機によるウイルス除去の具体的な方法を詳しく解説します。
洗濯だけでなく、その後の乾燥と洗濯機内部の除菌処理まで含めた総合的な対策が、家族の健康を守る鍵になります。
ここで紹介する方法は、厚生労働省や保健所の推奨するガイドラインに基づいており、信頼性のある内容です。
① 高温洗濯でウイルスを不活化
ノロウイルスは60℃以上の水温で10分以上加熱されることで不活化(感染力の消失)します。
そのため、ドラム式洗濯機の設定温度を「60℃以上」にし、10分以上しっかり洗濯することが重要です。
酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)や塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を併用すると、除菌効果がさらに高まります。
特に色柄物には酸素系、白物・耐久性のある衣類には塩素系の使用が推奨されます。
洗剤のみではウイルス除去は不十分なので、必ず漂白剤を併用してください。
② 乾燥機の活用でさらに除菌
ノロウイルスは乾燥と高温に非常に弱い性質があります。
乾燥機を使う場合は、60℃以上の温度設定で30分以上稼働させましょう。
より確実に除菌したい場合は、90分以上の乾燥や、天日干しと併用する方法も有効です。
アイロンがけも効果的で、スチーム付きアイロンで1分以上加熱すれば、感染力を確実に減らせます。
③ 洗濯後のすすぎは2回以上
ノロウイルスは洗剤に強く、すすぎ残しでも感染力を維持するため、すすぎは最低2回行いましょう。
特にドラム式は節水タイプのため、1回目のすすぎで残ったウイルスを、2回目で徹底的に除去します。
水温は常温でもかまいませんが、可能であれば40℃程度のぬるま湯が理想です。
すすぎ終了後は、洗濯機のドアを開けて内部をしっかり乾燥させることも忘れずに。
洗濯機の徹底消毒手順:再感染を防ぐために

ノロウイルスに汚染された衣類をドラム式洗濯機で洗ってしまった場合、その洗濯機自体が二次感染の原因になる危険性があります。
ドラム式洗濯機は構造上、水が全体に行き渡りにくく、ウイルスが残留しやすい設計です。
そのため、洗濯後は洗濯槽の内部、ゴムパッキン、フィルター部分まで徹底的に除菌・清掃を行うことが重要です。
ここでは、家庭でもできる洗濯機の消毒手順を詳しく紹介します。
作業には必ず手袋・マスクを着用し、換気を十分に行いながら進めてください。
① 塩素系漂白剤で洗濯槽を消毒
洗濯槽の除菌には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)が効果的です。
市販の塩素系漂白剤(濃度5%程度)を水2Lに対して40mL加えると約1000ppmの除菌濃度になります。
洗濯槽に最大水量を張り、漂白剤を加えて10~15分間回転させ、その後すすぎを2回行いましょう。
強い塩素臭や刺激があるため、換気は必須です。
② ゴムパッキン・ドアの隙間を重点清掃
ドラム式洗濯機では、ゴムパッキンの内側やドアの隙間に汚れが溜まりやすく、ここにウイルスが残っているケースが多くあります。
柔らかい布や綿棒に塩素系漂白剤を染み込ませ、隙間を丁寧に拭き取ります。
目に見える汚れがなくてもウイルスは目視できないため、念入りな処理が必要です。
仕上げに水で二度拭きし、乾燥させましょう。
③ フィルター・排水口の掃除も忘れずに
ノロウイルスの粒子は排水口やフィルターにも付着する可能性があります。
洗濯機の排水フィルターを取り外し、水洗いした後に、漂白剤で漬け置きすると安心です。
目詰まりしている場合は、先に汚れを取り除いてから処理しましょう。
作業後はしっかりと乾燥させることで、カビや雑菌の繁殖も防げます。
④ 洗濯槽クリーナーの定期使用
消毒後も月に1〜2回の洗濯槽クリーナーの使用を習慣化すると、ウイルスや細菌の繁殖を防げます。
塩素系のクリーナーは除菌力が高く、強い匂いが苦手な方には酸素系のクリーナーもおすすめです。
必ずパッケージの使用方法を確認し、正しい手順で使用してください。
- ノロウイルス汚染衣類は洗濯機で洗ってしまっても適切に対処すれば再利用可能
- 高温洗濯と乾燥処理がウイルス不活化の鍵
- 洗濯機内部やゴムパッキン、排水口の徹底消毒で二次感染を予防
- 塩素系漂白剤の使用方法と濃度を正確に理解することが重要
- 定期的な洗濯槽クリーナーの使用で日常的な衛生維持を実現